Consensus Statement

臨床試験:人工知能が関わる介入の臨床試験プロトコル用ガイドライン:SPIRIT-AI増補版

Nature Medicine 26, 9 doi: 10.1038/s41591-020-1037-7

SPIRIT 2013声明は、取り組む項目の最小限のセットを証拠に基づいて推奨することにより、臨床試験プロトコル報告の完全性を高めることを目的としている。この手引きは、新しい介入についての透明性の高い評価を促進する上で役に立ってきた。さらに最近になって、人工知能(AI)が関わる介入は、それが健康転帰へ及ぼす影響を実証するために、厳密な前向きの評価を経る必要があるという認識が高まってきた。SPIRIT-AI(Standard Protocol Items: Recommendations for Interventional Trials–Artificial Intelligence)増補版は、構成要素としてAIを含む介入を評価する臨床試験プロトコルのための新たな報告用ガイドラインであり、臨床試験報告書のための声明であるCONSORT-AI(Consolidated Standards of Reporting Trials–Artificial Intelligence)と並行して制作された。これら2つのガイドラインは共に、複数段階の合意過程を経て作成された。まず、文献の検討や専門家との協議により26の項目候補が作られ、二段階のデルファイ調査によって国際的な複数の利害関係者からなるグループの意見を聞き(103人の利害関係者による)、次いでコンセンサス会議で承認を受け(31人の利害関係者による)、そしてチェックリストパイロットを介して改良された(34人の参加者による)。SPIRIT-AI増補版には15の新項目が含まれていて、これらはAI介入の臨床試験プロトコルに十分に重要だと見なされたものである。これらの新項目は、SPIRIT 2013の主項目に加えて、規定通りに報告されなくてはならない。SPIRIT-AIでは、調査者が、使用の際に必要となる指示や技術、AI介入が組み込まれる設定、入力および出力データの取り扱いについての考慮すべき事項、ヒトとAIの相互関係およびエラーケースの分析などの、AI介入についての明確な諸記述を行うことを推奨している。SPIRIT-AIは、AI介入のための臨床試験プロトコルの透明性や完全性を向上させるのに役立つだろう。このガイドラインの使用は、編集者やピアレビューアーに加えて、一般の読者にとっても、計画された臨床試験の設計とバイアスのリスクを理解し、解釈し、批判的に判定することの助けとなるだろう。

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