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免疫モデルシステム:ヒト適応免疫応答の扁桃オルガノイドを用いたモデル作製
Nature Medicine 27, 1 doi: 10.1038/s41591-020-01145-0
我々が適応免疫について知っていることのほとんどは、近交系マウスを使った研究から得られている。そこで使われている方法は、ヒトでの確認が難しかったり、不可能だったりすることが多い。その上、マウスのワクチンへの応答からは、ヒトでの同一ワクチンに対する応答をほとんど予測できないことがしばしばである。我々は、容易に入手できるリンパ器官であるヒト扁桃を用いて、抗原特異的抗体産生、体細胞超突然変異と親和性成熟、形質芽細胞分化、クラススイッチ組換えなどの胚中心の主要な特徴をin vitroで再現する、機能を備えた器官型システムを開発した。我々はこのシステムを用いて、インフルエンザワクチンへの応答を生じるのに必要な必須の細胞成分を明らかにした。このシステムはまた、狂犬病ワクチンとアデノウイルスを使った重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV2)ワクチンという2つのプライミング抗原に対する液性免疫応答の評価や、多様なアジュバントの影響を評価するのにも使えることが分かった。このシステムは、適応免疫の基底となっている重要な機序を従来の範囲を越えてさらに深く調べ、完全なヒトシステムでワクチン候補やアジュバントの試験を迅速に行うのにも役立つだろう。