Article

がん治療:神経繊維腫症1型に関連する蔓状神経繊維腫に対するカボザンチニブの有効性:第2相臨床試験

Nature Medicine 27, 1 doi: 10.1038/s41591-020-01193-6

神経繊維腫症1型(NF1)の蔓状神経繊維腫(PN)は進行性の多細胞性新生物で、さまざまな症状を引き起こし、肉腫に形質転換する可能性がある。Nf1fl/fl;Postn-Creマウスに多標的チロシンキナーゼの阻害剤であるカボザンチニブを投与すると、PNのサイズや数が減少し、PNの増殖を引き起こす複数の細胞系譜でキナーゼ群が程度の異なる調節を受けた。これらの知見に基づいて、Neurofibromatosis Clinical Trials Consortiumは、第2相非盲検非無作為化サイモン2段階試験を実施し、NF1および進行性あるいは症候性の手術不能なPNを有する16歳以上の患者を対象に、カボザンチニブの安全性、有効性、生物学的活性を評価した(NCT02101736)。この試験の主要評価項目は、12サイクルの治療後に患者の25%以上で部分奏効[PR、磁気共鳴画像法(MRI)で評価した標的病変体積の20%以上の減少]が達成されることで、これは満たされた。副次評価項目には、有害事象(AE)、疼痛と生活の質(QOL)を評価する患者による主観的評価(PRO)、薬物動態(PK)、循環血中の内皮細胞とサイトカインのレベルが含まれていた。19人の評価可能な試験参加者のうち8人(42%)でPRが達成された。腫瘍体積の変化の中央値は15.2%(範囲、+2.2%~−36.9%)で、治療中に疾患が進行した患者はいなかった。9人の患者はAEのために投与量の減量あるいは治療の中断が必要となった。共通するAEは、胃腸毒性、甲状腺機能低下症、倦怠感、手掌・足底発赤知覚不全などであった。8人の患者に合計11のグレード3 AEが生じた。PRが達成された患者は、腫瘍の疼痛強度と疼痛による日常生活の支障が有意に低下したが、全体的なQOLスコアに変化はなかった。これらのデータは、カボザンチニブがNF1関連PNで有効であって、腫瘍体積の減少と疼痛の改善を引き起こすことを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度