COVID-19:新型コロナウイルス感染症で入院した患者での回復期血漿の有効性:非盲検無作為化対照試験
Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01488-2
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する回復期血漿の有効性は不明である。ほとんどの無作為化対照試験では否定的な結果が示されているが、非対照試験では抗体含有量が患者の転帰に影響を与える可能性が示唆されている。今回我々は、呼吸器症状の発症から12日以内に酸素投与を受けたCOVID-19成人患者に対して、回復期血漿の非盲検無作為化対照試験を行った(NCT04348656)。患者は500 mlの回復期血漿群と標準治療群に2:1に割り振られた。複合主要評価項目は30日目までの挿管または死亡とした。主要評価項目の回復期血漿抗体の効果の探索的解析は、ロジスティック回帰により評価した。この試験は無効中止基準を満たしたため、計画していた登録者数の78%で終了した。合計で940人の患者が無作為化され、921人の患者が治療企図解析に組み込まれた。挿管もしくは死亡は、回復期血漿群では614人中199人(32.4%)、標準治療群では307人中86人(28.0%)だった[相対リスク(RR)= 1.16{95%信頼区間(CI)0.94~1.43、P = 0.18}]。回復期血漿群の患者では、より重度の有害事象が見られた(33.4%対26.4%、RR = 1.27、95%CI 1.02~1.57、P = 0.034)。回復期血漿の治療効果は、抗体含量によって有意に変化した。多変量解析では、中和活性もしくは抗体依存性細胞傷害作用での、それぞれの標準化した対数増加は、血漿に存在すると考えられる有害作用を独立に減少させた[それぞれオッズ比(OR)= 0.74、95%CI 0.57~0.95およびOR = 0.66、95%CI 0.50~0.87]。一方で、完全長膜貫通スパイクタンパク質に対するIgGは、このような有害作用を増加させた(OR = 1.53、95%CI 1.14~2.05)。回復期血漿は、COVID-19の入院患者で、30日目での挿管または死亡のリスクを低下させなかった。好ましくない抗体プロファイルを持つ回復期血漿の輸血は、標準治療と比べた場合に、良くない臨床転帰に関連付けられる可能性がある。