Brief Communication
HIV:2人のHIV感染者で抗レトロウイルス治療中断後に見られた長期的ウイルス制御の機構の違い
Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01503-6
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者の一部は、抗レトロウイルス療法(ART)を行わなくてもHIVが抑制され、その基盤となる機構の解明には高い関心が持たれている。我々は、分析のための治療中断(ATI)後に血漿ウイルス血症が長期間にわたって制御されたHIV感染者についての、対照的な2つの症例報告を示す。参加者04はウイルスブリップを経験し、ATIの1250日目の直前に最適でないARTの自己投与を申告せずに開始したことが見つかった。そして、血漿HIV env塩基配列の系統解析から、ウイルスの進化は継続していて、既存のウイルスリザーバーの再活性化も時間経過とともに起こっていることが示唆された。CD8+ T細胞の抗ウイルス活性は参加者04の方が参加者30よりも高かった。対照的に、参加者30は自己ウイルスに対して血漿IgGを介した強力な中和活性を示したが、ATI 1434日目にHIVの重感染により血漿ウイルスリバウンドが突然起こった際には、この中和活性は効果がなかった。我々のデータは、治療中断後に見られる異なるウイルス制御機構についての知見を示しており、ATI期間中のARTの申告なしでの使用や重感染を高頻度で監視することの重要性を明らかにしている。