COVID-19:健常成人でのSARS-CoV-2変異株mRNAワクチンブースターの安全性と免疫原性:中間解析
Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01527-y
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に、中和に対する感受性が低下している「懸念される変異株(VOC)」や「注目すべき変異株(VOI)」が出現したことで、ブースター接種や変異株特異的ワクチンの評価についての関心が高まっている。およそ6か月前に、初回として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンmRNA-1273の2回の接種を受けた臨床試験参加者を対象に、mRNA-1273、あるいは多価mRNA-1273.211などの変異株用に改変したmRNAの単回ブースター接種を行って安全性や免疫原性についての主目標を評価する目的で、非盲検第2a相試験が行われた(NCT04405076)。本試験は現在も進行中であるため、この探索的な中間解析は、4つのブースターグループ(1グループ当たりn = 20人)だけについての予備的な記述結果である。ブースター接種の直前、野生型D614Gウイルスに対する中和抗体は、初回シリーズの1か月後に測定した野生型D614Gウイルスに対するピーク時力価に比べて減弱していた(P < 0.0001)。また、B.1.351(ベータ)、P.1(ガンマ)とB.1.617.2(デルタ)というVOCに対する中和力価も、低いもしくは検出不可能であった。mRNA-1273のブースターおよび変異株用に修飾したブースターはいずれも安全で、かつ十分耐容性があった。mRNA-1273を含む全てのブースターで、初回シリーズの1か月後に測定した野生型D614Gウイルスに対するピーク時力価と比べて、野生型D614Gウイルスに対する中和力価は数値的に上昇した。特に、mRNA-1273およびmRNA-1273.211については有意な増加が観察された(P < 0.0001)。さらに、いずれのブースターも、B.1.351、P.1.やB.1.617.2などの重要なVOCやVOIに対する中和力価を増加させた。こうした力価は、初回のワクチンシリーズ後に測定された野生型D614Gウイルスに対するピーク力価と統計学的に等価であった。またいくつかのVOIに対してはより優れた力価が見られた。本試験はなお進行中である。