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がん治療:切除不能な胸膜中皮腫に対するデュルバルマブとプラチナ製剤-ペメトレキセドの併用:第2相PrE0505試験からの生存とゲノム解析および免疫学的解析

Nature Medicine 27, 11 doi: 10.1038/s41591-021-01541-0

中皮腫はまれで致死的ながんで、治療選択肢が限られていたが、最近になって免疫チェックポイント阻害療法の併用が承認されている。今回我々は、未治療の切除不能な胸膜中皮腫患者55人に対して、抗PD-L1抗体デュルバルマブとプラチナ製剤-ペメトレキセド化学療法を併用した第2相PrE0505試験(NCT02899195)の結果を報告する。主要評価項目は全生存期間とし、過去に行われたシスプラチン-ペメトレキセド化学療法を対照群として比較した。副次的評価項目と探索的評価項目には、安全性、無増悪生存期間、応答のバイオマーカーが含まれている。デュルバルマブと化学療法の併用は事前に指定した主要評価項目を満たし、生存期間中央値が20.4か月に達したのに対して、過去の対照群の生存期間中央値は12.1か月だった。治療により生じた有害事象は、化学療法の既知の副作用と一致しており、免疫療法に起因する有害事象は、全てがグレード2以下だった。ゲノム解析と免疫細胞レパートリー解析を統合することで、より多様なT細胞レパートリーと組み合わさったより高い免疫原性変異負荷が、好ましい臨床転帰と結び付いていることが明らかになった。構造的ゲノム規模解析では、類上皮組織構造の応答が見られる腫瘍で、ゲノム不安定性の度合いがより高いことが示された。がん素因遺伝子(特にDNA修復関連)に生殖細胞系列変異を持つ患者は、長期生存を達成する可能性が高かった。今回得られた知見は、デュルバルマブとプラチナ製剤を用いた化学療法の併用には、有望な臨床活性があり、応答は悪性胸膜中皮腫の複雑なゲノム背景によって促進されることを示している。

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