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早老症:系統的なスクリーニングによって見つかったハッチンソン・ギルフォード早老症候群の治療のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド
Nature Medicine 27, 3 doi: 10.1038/s41591-021-01262-4
ハッチンソン・ギルフォード早老症候群(HGPS)は、小児期から早期老化が始まるまれな疾患で、例外なく致死性であり、LMNA遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)前駆体のスプライシング異常によって引き起こされる。我々は、HGPSの治療のための最適化されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を見つけ出す目的で、in vitroでのスクリーニングとin vivoでの検証を組み合わせて用い、標的塩基配列、骨格の化学的性質、作用機序の影響を系統的に調べた。198のASOからなるライブラリー中では、最も強力な複数のASOはLMNAのエキソン12連結部を標的としていて、RNアーゼHを介さない機構により作用した。HGPSのマウスモデルに最適化されたリード化合物候補を投与すると、寿命が延びた。プロジェリンのmRNAレベルはin vivoでロバストに低下したが、プロジェリンタンパク質の減少程度は組織間で異なっていた。これは、in vivoでのプロジェリンの半減期は長く、組織特異的な代謝回転が起こっていることを示唆している。これらの結果によってHGPSの新しい治療薬が見つかり、またHGPSの疾患機構についての手掛かりが得られた。