Brief Communication
腫瘍:多発性骨髄腫患者で抗BCMA CAR T細胞への応答で見られたホモ接合性BCMA遺伝子欠失
Nature Medicine 27, 4 doi: 10.1038/s41591-021-01245-5
B細胞成熟抗原(BCMA)は、多発性骨髄腫(MM)でさまざまな免疫療法の標的であり、また腫瘍量に関するバイオマーカーでもある。本論文では、KarMMa試験(NCT03361748)に登録され、抗BCMA CAR T細胞療法後に症状が進行したMM患者での不可逆的なBCMA欠失という症例について報告する。我々は、TNFRSF17(BCMA)遺伝子のホモ接合性欠失が起こったクローンの選択が、免疫回避の基盤となる機構であることを突き止めた。さらに、MM患者168人中の37人でTNFRSF17ヘテロ接合性欠失あるいは16番染色体モノソミーが見つかった。その中にはBCMA標的療法をこれまでに受けたことのないハイパーハプロイドMM患者33人のうち28人が含まれており、これは治療前に見られるヘテロ接合性のTNFRSF17欠失が、理論的には免疫療法後のBCMA欠失のリスク要因となり得ることを示唆している。