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筋萎縮性側索硬化症:血管周囲繊維芽細胞の活性変化はALS疾患の発症に先行する

Nature Medicine 27, 4 doi: 10.1038/s41591-021-01295-9

神経細胞でよく解明された因子を別にすれば、孤発性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行の変動性が、グリアや血管からの、性質がよく分かっていない関与に依存している可能性について検討した報告は、わずかしかない。本研究で、我々は、発現に重み付けをした細胞タイプエンリッチメント解析法を用いて、孤発性ALS患者とALSマウスモデルからの脊髄試料での細胞の活性を推定した。孤発性ALS患者は、ミクログリアの応答に先行して血管細胞遺伝子の濃縮が起こるという2つのマウスモデルでの観察と一致した細胞活性パターンを示すことが分かった。特に、血管周囲繊維芽細胞は発症前段階で最も強い遺伝子の濃縮を示し、それらのマーカータンパク質であるSPP1とCOL6A1が、孤発性ALS患者の拡大した血管周囲空間に蓄積した。さらに、4つの無関係なコホートからのALS患者574人の血漿で見られた疾患診断時のSPP1レベル上昇は、確立されたリスク因子である球麻痺の発症や脳脊髄液中のニューロフィラメントレベルよりも強い効果があり、生存期間の短さが繰り返し予測された。我々は、最近発見された血管周囲繊維芽細胞が、ALS患者の生存期間を予測でき、ALS病因の特徴を再評価するための新たな概念的枠組みを提供すると考えている。

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