Review Article
ワクチン:新興感染症のためのワクチン開発
Nature Medicine 27, 4 doi: 10.1038/s41591-021-01301-0
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)で使われたワクチン戦略と技術基盤について、以前に出現した感染症や再興感染症、またパンデミックでこれらが使われた状況と関連付けて検討すれば、相互に役に立つ教訓が得られる可能性がある。最近出現した感染症の前例のない規模と急速な広がりは、ワクチン開発企業、規制当局、保健医療機関や行政機関に新たな難問を投げ掛けている。ワクチンの製造と販売・流通は複雑かつ困難である。分配の際の迅速さは不可欠だが、緊急時の使用のための臨床開発の承認や販売免許、ワクチンの安全性の監視(pharmacovigilance)や、ウイルス変異株のサーベイランスもまた極めて重要である。ワクチンへのアクセスと接種は、低・中所得国を優先する必要がある。このような要因の組み合わせは、現在進行中のものだけでなく、将来出現するであろう感染症パンデミックを収束させる努力の最終的成功に重くのしかかる問題となるだろう。