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「私は銃を持ったボディーガードと一緒にいなければなりませんでした」―パンデミックの間に起きた研究者への攻撃

Nature Medicine 27, 4 doi: 10.1038/s41591-021-01314-9

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が起こったことで、公衆衛生の研究者はこれまでに比べてずっと多くの注目を集めるようになった。しかしパンデミックの渦中では、このことがなぜか、彼らを脅して黙らせるための嫌がらせや攻撃につながった。その1つの例が、マラリア治療薬クロロキンがCOVID-19に効果があるかどうかを調べたり、それについて意見を述べたりした研究者たちが巻き込まれた騒ぎである。この薬の安全性や効果に関する発言によってソーシャルメディアや行政機関、あるいはその所属組織から脅しや報復を受けたことを報告した研究者は世界中に広がっていて、その数は想像をはるかに超えている。しかし、実はこの例は氷山の一角にすぎない。パンデミックが拡大するにつれて、医療従事者や公衆衛生の研究者が理由のよく分からない攻撃を受けたり、ののしられたり、深刻な脅しをされたりするという事態が世界中で起こっている。そして、彼らの報告からは、科学、メディア、政治と一般社会の間の、過度の緊張関係が浮かび上がってくる。こうした関係がもっと毒々しい悪意を伴ったものになれば、これはもはや個人の問題ではない。健康に関する率直な意見と科学的根拠が、誤った情報や他人をだますようなキャンペーン、互いに矛盾する物語から生じる雑音をどのくらい取り除けるかということを、我々は真剣に考えなくてはいけなくなっている。

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