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COVID-19:中和抗体レベルは症候性SARS-CoV-2感染からの免疫防御を高精度で予測する

Nature Medicine 27, 7 doi: 10.1038/s41591-021-01377-8

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する免疫防御の予測モデルは、将来のワクチン使用時に役立つ防御関連因子を明らかにするために、緊急に必要とされている。この問題に対処するために、我々は現在使用されている7種のワクチンと回復中の患者からなるコホートからのデータを用いて、in vitroでの中和抗体レベルと重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染時に観察された感染防御との関係を解析した。検出可能なSARS-CoV-2感染を50%防御する中和抗体レベルは、回復患者の平均レベルの20.2%[95%信頼区間(CI)= 14.4~28.4%]になると推定された。重症感染を50%防御するのに必要とされる推定中和抗体レベルは有意に低かった(回復患者の平均レベルの3%、95% CI = 0.7~13%、P = 0.0004)。免疫後の最初の250日間での中和抗体価の低下のモデル化によって、SARS-CoV-2感染に対する防御能は有意に失われると予測されるが、重症疾患からの防御は大部分維持されると推定された。SARS-CoV-2の「懸念される変異株」の一部に対する中和抗体価はワクチン株と比較すると低下しており、我々のモデルは、ウイルス変異株に対する中和と有効性との間の関連性を予測している。本論文では、中和抗体レベルは免疫防御を高精度で予測することを明らかにしており、SARS-CoV-2免疫防御の、医学的根拠に基づいたモデルが示された。これは将来のパンデミック(世界的大流行)の展開を制御するためのワクチン戦略開発に役立つだろう。

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