Article
がん:がんでのPD-1阻害への応答を詳細に分析するためのex vivo腫瘍断片プラットフォーム
Nature Medicine 27, 7 doi: 10.1038/s41591-021-01398-3
PD-1–PD-L1軸の阻害剤はヒトの多数のがんの治療法として承認されている。この治療法の広範囲にわたる臨床活性には証拠があるにもかかわらず、ヒトがん組織でPD-1阻害後に起こる免疫学的変化についてはほとんど分かっていない。我々は、患者由来の腫瘍断片プラットフォームを開発し、それを使ってex vivoでのPD-1阻害に対するヒト腫瘍組織の初期免疫学的応答を詳細に調べた。ex vivoで再活性化される免疫細胞の能力から臨床応答が予測されることが観察され、また、かく乱解析によって腫瘍に常在するT細胞がこの免疫学的応答の重要な構成要素であることが明らかになった。さらに、ベースライン時の特性と免疫応答能を組み合わせて解析することで、PD-1阻害に応答する能力を欠いた浸潤腫瘍の新しいサブグループが見つかった。また、三次リンパ構造とその構成要素がベースラインに存在することは、腫瘍内免疫細胞の再活性化を起こすがんの能力と相関していた。