Article
腸マイクロバイオーム:ヒト微生物相に対する血清抗体エピトープレパートリーの集団規模での多様性と安定性
Nature Medicine 27, 8 doi: 10.1038/s41591-021-01409-3
血清抗体は、病原体と腸内常在微生物相の両方を認識することができる。しかし、抗体レパートリーに関する現在の我々の理解は、対応するB細胞受容体遺伝子のDNA塩基配列解読に主に基づくものであり、実際の細菌性抗原標的については完全には明らかになっていない。今回我々は、腸微生物相、病原性細菌とプロバイオティック細菌に由来する、合理的に選択された24万4000種類のペプチド抗原に対する、997人の健常者の血清抗体応答のプロファイリングを行った。ファージディスプレイ合成オリゴライブラリーに基づいたPhIP-Seq(phage immunoprecipitation sequencing)を行うことで、年齢や性別に関連した微生物相に対する広範な個人特異的抗体応答と個人間で共通した抗体応答が検出された。また、これらの抗体エピトープレパートリーは、腸マイクロバイオームの生物種の存在度よりも長期的に安定であることが明らかになった。5年間隔で収集された200人を超える個人からの血清検体は正確にマッチさせることができ、免疫学的フィンガープリントとして役立つ可能性がある。まとめると、我々の結果は、全身的な抗体応答は、腸内微生物種の組成を超えて、微生物相に関する情報の重複がない層を示していることを示唆している。