Article

CAR T細胞療法:再発性あるいは難治性のB細胞悪性腫瘍成人患者でのCD19とCD22の両方を標的とするCAR T細胞:第1相臨床試験

Nature Medicine 27, 8 doi: 10.1038/s41591-021-01436-0

CD19を標的とするキメラ抗原受容体T細胞(CAR19)療法は目覚ましい進展が見られているにもかかわらず、治療を受けた患者の50%以上が疾患進行を経験する。CAR19治療後に疾患が進行した大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の患者16人のうち10人は、CD19が存在しないか、その量が低下していた。細胞表面のCD19密度を低くする前処理は進行性疾患と関連付けられた。CD19、もしくはCD19loの疾患の再発を防止するために、我々は再発/難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)とLBCLの成人患者を対象とした第1相臨床試験(NCT03233854)で、CD19とCD22を標的とする二重特異性CAR(CD19-22.BB.z-CAR)について調べた。主要評価項目は製品製造の実現可能性と安全性で、二次評価項目は有効性であった。主要評価項目は満たされ、製品の97%はプロトコルで指定された用量を満たし、用量漸増中に用量制限毒性は生じなかった。B-ALL(n = 17)では、患者の100%が応答し、微小残存病変陰性の完全寛解(CR)は88%であった。LBCL(n = 21)では、62%の患者が応答を示し、CRは29%であった。再発はB-ALL患者の50%(10人のうち5人)およびLBCL患者の29%(14人のうち4人)でCD19−/loであったが、CD22−/lo疾患とは関連がなかった。CD19/22-CAR製品は、CD19よりもCD22で刺激された場合の方が、サイトカイン産生が低下していることが示された。我々の結果は、抗原の喪失がCAR T細胞抵抗性の主な原因であることをさらに示唆するものであり、多数の標的に同等の有効性を持つ多重特異性CAR T細胞の作製が難問であることを明確にし、サイトカイン産生がCAR T細胞の有効性の重要な品質指標であることを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度