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自己免疫疾患:遺伝性PD-1欠損症は小児の1例で結核と自己免疫疾患の基盤になっている

Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01388-5

PD-1(programmed cell death protein 1)阻害後に起こる有害事象[結核(TB)や自己免疫疾患などが含まれる]の病態生理はほぼ未解明のままである。我々は、遺伝性PD-1欠損症と結核を患っており、自己免疫性肺疾患により死亡した患者1例について調べた。この患者の白血球はPD-1を発現しておらず、PD-1を介した抑制にも応答しなかった。この患者のリンパ球は、マイコバクテリアでの刺激に対してごく少量のインターフェロン(IFN)γしか産生せず、これはTBに脆弱性を示す先天性IFN-γ産生不全の患者と同様であった。この表現型は、Vδ2+ γδ Tリンパ球、粘膜関連インバリアントTリンパ球、CD56brightナチュラルキラーリンパ球の複合的枯渇と他のリンパ球サブセットの機能不全に由来していた。さらに、この患者は、肝脾腫に加え、総T細胞、活性化T細胞、RORγT+ CD4CD8ダブルネガティブαβ T細胞の増殖を示し、これはリンパ増殖性自己免疫疾患を発症するSTAT3機能獲得型変異を有する患者と同様であった。この表現型は、活性化されたTリンパ球および単球により過剰産生されるSTAT3活性化サイトカインであるインターロイキン6(IL-6)およびIL-23と、活性化Tリンパ球によるSTAT3依存性のRORγTの発現に由来していた。我々の研究は、ヒトPD-1が抗マイコバクテリウム免疫と自己免疫寛容の双方を統括する不可欠な役割を持つことを明らかにするとともに、PD-1阻害剤を使用している患者の結核と自己免疫疾患の診断および治療的管理に有用な可能性のあるアクショナブルな分子標的を明らかにしている。

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