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がん治療:再発性または難治性中枢神経系腫瘍の小児と若年成人患者でのHER2特異的CAR T細胞の局所注入:中間解析

Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01404-8

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の局所領域への送達は、グリオブラストーマの成人患者で客観的効果をもたらしているが、小児の中枢神経系(CNS)腫瘍でのこの方法の実行可能性と耐容性についてはまだ評価されていない。今回我々は、CARのスペーサーを中程度の長さに改変すると、同所性異種移植片髄芽腫モデルでヒトerb-b2受容体型チロシンキナーゼ2(HER2)特異的CAR T細胞の治療効果が増強されることを示す。我々は、この知見のトランスレーショナル研究をBrainChild-01(NCT03500991)で行った。BrainChild-01はシアトル小児病院で進行中の第1相臨床試験で、びまん性正中グリオーマなどの再発性/難治性CNS腫瘍の小児および若年成人患者に対して、これらのHER2特異的CAR T細胞の反復的局所投与の評価が行われた。主目的は実行可能性、安全性、耐容性の評価であり、副次目的はCAR T細胞の分布や疾患応答の評価などである。外来患者の場合は、患者はCNSカテーテルを介して腫瘍腔もしくは脳室系の中に注入が行われた。最初の3人の患者では用量制限毒性は見られず、脳脊髄液中の高濃度のCXCL10とCCL2など、臨床的証拠だけでなく、関係する検査結果からも、局所的なCNS免疫活性化の証拠が得られた。この中間報告は、反復投与レジメン用のHER2特異的CAR T細胞の作製が実行可能であることを裏付け、そのCNS内への反復送達の耐容性が十分に高く、小児患者と若年成人患者で局所的な免疫応答を活性化する可能性を示している。

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