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アセンブロイドモデル:ヒトの三次元神経-血管周囲「アセンブロイド」はアストロサイトの発達を促進し、SARS-CoV-2神経病態のモデル化を可能にする
Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01443-1
中枢神経系はしばしば、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染による影響を直接的、あるいは間接的に被ることが臨床的証拠から示唆されている。しかし、その機構は明らかになっていない。周皮細胞は脳内の血管周囲細胞であって、これがSARS-CoV-2感染部位であると考えられている。我々は、周皮細胞様細胞(PLC)は皮質オルガノイドに組み込まれると、真正SARS-CoV-2が感染できるようになることを示す。PLCは、感染前にアストロサイトの成熟や基底膜の構成要素の産生を引き起こす。このような特徴はin vivoでは周皮細胞の機能に起因していた。従来の皮質オルガノイドは感染の証拠をほとんど示さなかったが、皮質オルガノイド内のPLCはウイルスの「複製ハブ」として機能し、ウイルスはアストロサイトに広がって、炎症性のI型インターフェロン転写応答を仲介した。従って、PLCを含む皮質オルガノイドであるPCCO(PLC-containing cortical organoid)は、神経組織でのアストロサイト成熟に加え、SARS-CoV-2の侵入や複製を支える新しい「アセンブロイド(assembloid)」モデルであり、神経感染の実験モデルとなる。