Brief Communication
COVID-19:ChAdOx1 nCoV-19とBNT162b2ワクチンの異種混合接種と同種接種後のSARS-CoV-2変異株に対する免疫応答
Nature Medicine 27, 9 doi: 10.1038/s41591-021-01449-9
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して現在承認されているウイルスベクター型およびmRNA型のワクチンについては、同一種のワクチンのプライムブースト法による接種のみが検討されている。血栓塞栓性事象の報告があった後、ヨーロッパの複数の政府は、アストラゼネカ社製ChAdOx1 nCov-19(ChAd)の使用を60歳以上にのみ推奨し、すでにChAdでの初回接種を受けた数百万人には、2回目もChAd接種を受けるか、それとも異種のmRNA型ワクチンでブースト接種を受けるかの判断を当事者に任せた。しかし、そのような組み合わせ接種はこれまでに試験されていない。我々は、ハノーバー医科大学(ドイツ)のCOVID-19 Contact Studyのコホート(医療従事者からなる)を用いて、ChAdで初回接種を受けた被検者で、ChAdによるブースト接種(n = 32)もしくはビオンテック社/ファイザー社製BNT162b2によるブースト接種(n = 55)を受ける前と、ブースト接種3週間後の免疫応答を調べた。どちらのワクチンも、初回接種によって誘導された免疫を増強したが、BNT162b2の方が、スパイク特異的CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を有意に高い頻度で誘導し、特に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の「懸念される変異株」であるB.1.1.7、B.1.351、P.1変異株に対する中和抗体の力価が高かった。