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COVID-19: デキサメタゾンは重篤なCOVID-19で未熟な好中球とインターフェロンプログラミングを調整する
Nature Medicine 28, 1 doi: 10.1038/s41591-021-01576-3
自然免疫細胞は宿主防御に重要であるが、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の病的ドライバーでもある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるARDSの間の自然免疫動態は、他の呼吸器病原体が原因のARDSと比べた場合、はっきりしていない。また、重篤なCOVID-19でのデキサメタゾンの有益な効果の基盤となっている機構はまだ分かっていない。我々は、単一細胞RNA塩基配列解読と血漿プロテオミクスを使って、細菌が原因のARDSと比べた場合、COVID-19ではインターフェロン(IFN)とプロスタグランジンのシグナル伝達を特徴とする独特な状態の好中球が増えていることを見いだした。重篤なCOVID-19に対して投与されたデキサメタゾンは循環血中の好中球に作用し、IFNactive好中球を変化させ、インターフェロン誘導遺伝子を抑制し、IL-1R2+好中球を活性化した。デキサメタゾンはまた、免疫抑制性で未熟な好中球を増加させ、好中球を情報を受け取る側から情報を発信する側へと変化させることで細胞間相互作用を再構築した。男性患者では、IFNactive好中球の割合がより高く、ステロイド誘導性の未熟な好中球が選択的に増加し、これらがおそらく転帰に影響を及ぼすと考えられる。我々の単一細胞アトラス(Data availabilityセクションを参照)は、重篤なCOVID-19に対する標的免疫療法を開発するために、COVID-19によって増えた好中球状態とデキサメタゾン作用の分子機序を明らかにしている。