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心血管疾患:リポタンパク質(a)を標的とする新規siRNAの前臨床開発および第1相試験
Nature Medicine 28, 1 doi: 10.1038/s41591-021-01634-w
リポタンパク質(a)[Lp(a)]が心血管疾患で原因となる役割を担っていることは、説得力のある証拠によって裏付けられている。Lp(a)を直接標的とする薬物療法で、現在臨床で使用できるものはない。本論文では、肝細胞でLPAメッセンジャーRNAの翻訳を直接阻害して、血漿中のLp(a)濃度を強力に低下させるように設計された画期的新薬である合成二本鎖N-アセチルガラクトサミン結合低分子干渉RNA(siRNA)のolpasiranの発見と開発について報告する。olpasiranは、トランスジェニックマウスとカニクイザルで、Lp(a)濃度を用量反応的に低下させ、単回投与後5~8週間にわたってベースライン値からの最大で80%を超える低下を達成した。olpasiranの第1相用量漸増試験(ClinicalTrials.gov:NCT03626662)では、主要評価項目は安全性と耐容性であり、副次評価項目はLp(a)濃度とolpasiranの薬物動態学的パラメーターの変化であった。参加者のolpasiran単回投与の耐容性は良好であり、9 mg以上の用量を投与後にLp(a)濃度は71~97%低下し、効果は数か月間持続した。olpasiranの血清濃度は、用量にほぼ比例して増加した。まとめると、これらの結果は、血漿Lp(a)濃度が上昇している患者で肝細胞を標的とするsiRNAを用いてLp(a)を強力に低下させる治療法の効果を実証したものである。