Brief Communication
宇宙貧血:溶血は長期にわたる宇宙飛行の間に起こる貧血の一因である
Nature Medicine 28, 1 doi: 10.1038/s41591-021-01637-7
宇宙飛行士の貧血は第1回の宇宙飛行のときから注意深く観察されてきたが、宇宙飛行で生じる貧血の機序はまだ明らかになっていない。本論文では、国際宇宙ステーションに滞在した14人の宇宙飛行士ではミッションの6か月間を通して、ヘモグロビン分解産物、肺胞気内一酸化炭素、血清鉄のレベルが持続的に上昇していたことを示す。地上に帰還した1年後にも、溶血、網状赤血球増加症、ヘモグロビン量のレベル上昇などの赤血球に対する影響は持続していた。これらの知見は、宇宙飛行中の微小重力環境の主な影響は溶血と呼ばれる赤血球破壊であることを示唆しており、宇宙飛行に関連する貧血は溶血性病態であって、宇宙飛行士と宇宙旅行者の両方に対するスクリーニングやモニタリングの際に考慮すべき症状であるという説を裏付けている。