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WAS遺伝子治療:ウィスコット・アルドリッチ症候群に対するレンチウイルスを用いた造血幹/前駆細胞遺伝子治療の長期的安全性と有効性

Nature Medicine 28, 1 doi: 10.1038/s41591-021-01641-x

ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)患者でヒト白血球抗原が適合するドナーが見つからない場合は、遺伝子を修正した自家造血幹/前駆細胞を供給する遺伝子治療が有用となる可能性がある。今回我々は、8人のWAS患者に対する、血小板減少症と自己免疫に焦点を絞った長期にわたる包括的な追跡調査(追跡期間の中央値は7.6年)の結果(第I/II相試験、no. NCT02333760)について報告する。これらの患者は、レンチウイルスベクターを用いた遺伝子治療の第I/II相試験(nos. NCT01347346、NCT01347242)の被験者である。この長期研究の主要評価項目は、臨床的安全性と生物学的安全性、有効性、耐容性を確立することであり、遺伝子治療後3年から15年にわたって、重篤な有害事象や臨床的状態の発生率とタイプの評価と、さまざまな細胞亜集団でのレンチウイルスのゲノム挿入部位などの生物学的パラメーターの評価が行われ、検証された。二次評価項目には、追加治療の必要性に対するモニタリングとT細胞レパートリー多様性が含まれている。中間解析では、遺伝子が修正された細胞は安定的に生着し、治療に関連した重度の有害事象は起こらなかったことから、この研究は調べた主要評価項目の基準を満たすことが明らかになった。全般的には、重度の感染と湿疹が解消された。また、血小板区画の一部しか修正されていないにもかかわらず、自己免疫疾患と出血症状の頻度は有意に低下した。この結果は、レンチウイルスを用いる遺伝子治療により、WAS患者に持続的な臨床効果がもたらされることを示唆している。

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