認知症：家族性前頭側頭型認知症での臨床症状の変化とバイオマーカーの変化の時間的順序

発症前の家族性前頭側頭型認知症（f-FTD）変異保有者では、家族性アルツハイマー病とはちがって、発症を正確に予測することができない。このことは、疾患を予防するための臨床試験の設計に対する大きな障害となっている。我々はf-FTDの疾患進行に関するマルチモーダルモデルを開発し、C9orf72、GRNおよびMAPTの変異保有者で臨床試験のサンプルサイズを見積もった。モデルには、変異保有者796人、対照となる非保有者412人の、経時的臨床スコアと神経心理学的スコア、局所的な脳容積、血漿内ニューロフィラメント軽鎖（NfL）の時系列データが含まれた。臨床的進行とバイオマーカーの変化進行の時間的順序は、遺伝子型によって異なることが分かった。モデルに基づいて患者を選別した発症予防臨床試験のシミュレーションでは萎縮とNfLが最も良い 評価項目だったが、初期症状での調査では臨床的尺度が評価項目候補となった。f-FTD発症防止試験は実行可能ではあるが、広範囲にわたる参加者獲得努力が必要となるだろう。治療効果の検出力を最大にするための最適な評価項目の選択や参加者基準の決定などを含む、このような疾患進行モデルはf-FTDの臨床試験の計画立案を促進するだろう。