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マイクロバイオーム:食餌によって誘導される微生物生態系はがん免疫療法の転帰と腸マイクロバイオームとを関連付ける基盤となっている

Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-01965-2

がんでは、腸内微生物相が免疫チェックポイント阻害剤(ICI)に対する応答を形作っているが、食餌の影響や地理的影響は前向き臨床試験では十分に調べられていない。我々はこの問題に取り組むために、切除可能な高リスク転移性黒色腫の治療のためにネオアジュバントICIの投与を受けたオーストラリアとオランダの103人の治験対象患者で、治療前の腸内(糞便)微生物相のシグネチャーと食餌パターンの前向きプロファイリングを行い、ICI投与を受けた米国の黒色腫患者115人からのデータと合わせて総合分析を行った。治療応答および免疫関連有害事象(irAE)の微生物的シグネチャーは地理的に異なることが観察された。全体として、奏功率はRuminococcaceae属優勢のマイクロバイオームの方が、Bacteroidaceae優勢のマイクロバイオームよりも高かった。応答不良は、食物繊維とオメガ3脂肪酸の低い摂取量と、治療前の末梢循環中のC反応性タンパク質の高いレベルとに関連していた。まとめると、これらのデータは、ICIへの応答とその毒性の形成における生来的な腸内微生物相シグネチャー、食餌摂取量と全身性炎症の関連についての知見をもたらし、この分野でのさらなる研究の必要性を促すものである。

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