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がん治療:非小細胞肺がんでのセミプリマブと化学療法の併用と化学療法単独使用の比較 ─ 無作為化対照二重盲検第3相試験

Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-01977-y

PD-L1(PD-ligand 1)発現率が50%以上の進行性非小細胞肺がん(aNSCLC)患者では、第一選択肢のセミプリマブ(抗PD-1〔programmed cell death 1〕)単剤療法によって、化学療法と比べた場合、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の著しい改善がこれまで見られてきた。二重盲検プラセボ対照第3相試験であるEMPOWER-Lung 3(NCT03409614)では、セミプリマブとプラチナダブレット化学療法の併用を、PD-L1の発現や組織型に関係なく、aNSCLCの第一選択療法とすることが検討された。この研究では、EGFRALKもしくはROS1に腫瘍性のゲノム異常がないステージIIIとIVのaNSCLC患者466人を無作為的に2:1に分割し、セミプリマブ350 mg(n = 312)あるいはプラセボ(n = 154)を3週間ごとに最長108週にわたって、4サイクルのプラチナダブレット化学療法と組み合わせて投与した(その後、適応があればペメトレキセド維持療法を行った)。合計で57.1%の患者(466人中266人)には非扁平上皮NSCLCが見られ、85.2%(466人中397人)はステージIVのがんを有していた。主要評価項目はOSとした。この試験は、事前に設定したOSの有効性基準を満たしたため、独立したデータ監視委員会の勧告に基づいて早期に中止された。OSの中央値は、セミプリマブと化学療法の併用では21.9カ月〔95%信頼区間(CI):15.5–評価不能〕だったのに対して、プラセボと化学療法の併用では13.0カ月(95%CI:11.9–16.1)〔ハザード比(HR)= 0.71、95%CI:0.53–0.93、P = 0.014〕だった。グレード3以上の有害事象は、セミプリマブと化学療法の併用では43.6%(312人中136人)、プラセボと化学療法では31.4%(153人中48人)で起こった。従って、セミプリマブは化学療法との併用と単剤療法の両方で、扁平上皮組織型と非扁平上皮組織型のaNSCLCの両方に対して有効性を示した第2の抗PD-1/PD-L1薬である。

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