Brief Communication サル痘:ベルギーの性病外来診療施設の男性受診者での後ろ向き研究によって見つかった無症候性サル痘ウイルス感染 2022年8月12日 Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-02004-w 2022年に多数の国で急激に発生したサル痘ウイルス(MPXV)感染の規模は、これ以前に起こった感染全てを上回るものだった。無症候性、もしくは診断未確定の感染がこの流行を増幅させているのかどうかは明らかになっていない。本研究は、2022年5月にベルギーの性病外来診療施設を受診した男性で診断未確定の感染が起きていたかどうかを評価することを目的として行われた。我々は淋病とクラミジアの検査が目的で集められた224の試料をMPXVのPCRアッセイを用いて後ろ向きにスクリーニングして、4名の男性からのMPXV DNA陽性試料を見つけ出した。試料採取の時点では、1名の男性で疼痛のある発疹が見つかっており、3名の男性は症状を訴えていなかった。21〜37日後の臨床検査の際には、これらの3名の男性では臨床的な症候が全く見られず、その時点までにどんな症状も経験していなかったことが自己申告された。3名の男性全てでMPXVへの曝露が血清学的に確定され、2名の試料からはMPXVが培養された。これらの知見は、サル痘の症例の相当数が診断未確定であることを示しており、症状の訴えがある場合の検査や隔離が急激な感染発生を封じ込めるには十分ではない可能性が示唆された。 Full text PDF 目次へ戻る