Article がん治療:治療歴のある転移性ぶどう膜黒色腫患者でのテベンタフスプに対する臨床的および分子的応答 ― 第2相試験 2022年10月13日 Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-02015-7 治療歴のある転移性ぶどう膜黒色腫患者では、これまで1年全生存率は37%で、全生存期間の中央値は7.8カ月と報告されている。今回我々は、治療抵抗性転移性ぶどう膜黒色腫患者127人において、可溶性のT細胞受容体と抗CD3抗体を複合させた二重特異性タンパク質(gp100×CD3)であるテベンタフスプ(tebentafusp)の多施設単群非盲検第2相試験を行った(NCT02570308)。主要評価項目は、RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumours)v1.1に基づく客観的奏効率とした。副次評価項目には、安全性、全生存期間、無増悪生存期間、疾患制御率を含めた。全ての患者で、少なくとも1つの治療関連有害事象が起こった。最も広く見られたのは、発疹(87%)、発熱(80%)、掻痒(67%)だった。有害事象の重症度は主に軽度から中等度だったが、最初の3回の投与後に発生率と程度は大きく低下した。全奏効率は5%(95%CI:2–10%)と低いにもかかわらず、1年生存率は62%(95%CI:53–70%)、全生存期間の中央値は16.8カ月(95%CI:12.9–21.3)であり、従来の放射線学的な効果判定基準では測れない利益があることが示唆された。探索的解析では、放射線学的評価では進行と判断された患者であっても、治療初期の血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の低下が全生存期間の改善と強く関連していた。我々の知見は、テベンタフスプは、治療歴のある転移性ぶどう膜黒色腫患者で有望な臨床結果と許容可能な安全性を持つことを示している。またctDNAがテベンタフスプの臨床効果の初期指標となり得るかどうかは、今後無作為化試験で確認する必要があると思われる。 Full text PDF 目次へ戻る