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神経変性疾患：アミロイドおよびタウがPET陽性で認知障害がない場合は将来的な認知機能低下のリスクが高い

2022年11月10日 Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-02049-x

認知症分野で答えが得られていない大きな問題の1つは、認知障害がなく、アルツハイマー病の神経病理学的特徴（アミロイドβプラークとタウ神経原繊維変化）の両方を有する場合は、認知機能が時間が経っても維持できるのか、それとも認知機能は低下していく運命にあるのかというものである。この大規模多施設研究（n=1325）では、アミロイドとタウの陽電子放出断層撮影法（PET）を使って、内側側頭葉（MTL）と側頭新皮質（NEO-T）でアミロイドPET陽性（A⁺）かつタウPET陽性（T⁺）だが認知障害のない被験者で、将来的に軽度認知障害へ進行するリスクと経時的な認知機能低下の速度を調べた（それぞれA⁺T_MTL⁺群およびA⁺T_NEO-T⁺群と表記し、A⁺T⁻群およびA⁻T⁻群と比較した）。その結果、Cox比例ハザードモデルでは、A⁺T_NEO-T⁺群で軽度認知障害へ進行するリスクが相当度上昇することが明らかになった（ハザード比〔HR〕=19.2、95％信頼区間〔CI〕：10.9–33.7、A⁺T_MTL⁺群〔HR=14.6、95％ CI=8.1–26.4〕、A⁺T⁻群〔HR = 2.4、95％CI = 1.4–4.3〕、A⁻T⁻〔参照〕群）。A⁺T_MTL⁺群（HR = 6.0、95％CI = 3.4–10.6）とA⁺T_NEO-T⁺群（HR = 7.9、95％ CI = 4.7–13.5）は両方共、A⁺T⁻群よりも軽度認知障害への臨床的進行が速かった。線形混合効果モデルでは、A⁺T_NEO-T⁺群（β = −0.056 ± 0.005、T = −11.55、P < 0.001）、A⁺T_MTL⁺群（β = −0.024 ± 0.005、T = −4.72、P < 0.001）、A⁺T⁻群（β = −0.008 ± 0.002、T = −3.46、P < 0.001）は、A⁻T⁻群（参照）群と比較して、長期的に有意に速い全体的な認知機能低下を示すことが明らかになった（全てP < 0.001）。A⁺T_NEO-T⁺群（P < 0.001）とA⁺T_MTL⁺群（P = 0.002）群もまた、両方共にA⁺T⁻群よりも速く進行することが示された。まとめると、アミロイドとタウの異常なPET検査結果の組み合わせで示された進行性アルツハイマー病の病理学的変化の証拠は、認知障害のない場合にも起こる短期間（3〜5年間）での認知機能低下と強く関連しており、従ってこれらの証拠は臨床に高い関連性がある。

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