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大気汚染:吸引した微粒子は加齢に伴って蓄積し、ヒト肺リンパ節で免疫機能と構造を損なう

Nature Medicine 28, 12 doi: 10.1038/s41591-022-02073-x

高齢者は、肺の感染症や腫瘍性疾患に特に罹患しやすいが、一生にわたる環境汚染物質への曝露が呼吸免疫機能にどのように影響するのかは明らかになっていない。今回我々は、臓器提供者84人(11〜93歳)からのヒトリンパ節を調べ、肺関連リンパ節では見られるが、腸関連リンパ節では見られない、加齢に関連した特異的な免疫機能低下を見つけ出し、これは吸引した大気中の微粒子状物質の蓄積と結び付けられた。肺関連リンパ節では加齢に伴って微粒子密度が上昇していたが、対応する腸関連リンパ節ではこれは起きていなかった。微粒子はCD68+CD169マクロファージに特異的に含まれており、これらのマクロファージでは、微粒子を含まないマクロファージと比較して、活性化やファゴサイトーシス能が低下し、サイトカイン産生が変化していた。微粒子を含む肺関連リンパ節では、B細胞濾胞構造やリンパドレナージも崩壊していた。我々の結果は、環境曝露と年齢の累積的な影響が、免疫細胞機能やリンパ組織の構造への直接の影響を介して肺の免疫監視を低下させる可能性を示している。

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