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遺伝子治療:テイ・サックス病に対するAAV遺伝子治療

Nature Medicine 28, 2 doi: 10.1038/s41591-021-01664-4

テイ・サックス病(TSD)は遺伝性の神経疾患で、ヘキソサミニダーゼA(HexA)の欠損によって引き起こされる。今回我々は、2人の乳児TSD患者でのアデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療の拡大アクセス(コンパッショネート)試験(IND 18225)について報告する。この試験では、安全性を主要評価項目とし、副次評価項目は設定しなかった。患者TSD-001では、生後30か月時にAAVrh8-HEXAとAAVrh8-HEXBの等モル混合物の髄腔内投与を行い、総投与量[1 × 1014ベクターゲノム(vg)]の75%は大槽、25%は胸腰椎接合部に投与した。患者TSD-002では、生後7か月時に左右の視床(片側の視床当たり1.5 × 1012 vg)と髄腔内注入(3.9 × 1013 vg)を組み合わせて投与を行った。どちらの患者も免疫が抑制された。注入手順の耐容性は高く、これまでにベクターに関連する有害事象(AE)は認められていない。脳脊髄液(CSF)のHexA活性はベースラインから上昇し、どちらの患者でも安定状態が持続した。TSD-002では、注射後3か月までに髄鞘形成の進行を伴って疾患が安定化し、乳児TSDの自然歴から一時的に外れたが、治療後6か月の時点で疾患進行が明確になった。TSD-001は、治療前と同じ抗けいれん治療を受けていて、5歳の時点で発作はない状態が続いている。TSD-002は2歳で抗けいれん薬応答性の発作を起こした。この研究は、ヒトTSD患者のAAV遺伝子治療の初期安全性と概念実証データを示している。

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