Perspective

ゲノミクス:ゲノム研究の多様性を高めるための戦略

Nature Medicine 28, 2 doi: 10.1038/s41591-021-01672-4

最初のヒトゲノム塩基配列が公開されたのは20年前である。それ以来、ゲノム技術の進歩は、数百万のヒトゲノムの全ゲノム塩基配列解読やマイクロアレイを用いたジェノタイピングという成果につながった。しかし、遺伝学研究やゲノム研究は、主にヨーロッパ系の祖先集団を使って行われてきた。そのため、疾患原因の詳しい解明や早期の発見と診断、合理的な薬剤設計、臨床ケアの改善といったゲノム研究がもたらすと考えられる利益を、過小評価グループの多くが受けられない可能性がある。今回我々は、さまざまな集団の代表の参加に不均衡を生じさせる原因となっている複数の要素について述べ、世界に存在する多様な集団でゲノム研究を設定した際の我々の経験を用いて、インクルージョンを強化し、ゲノミクスの進展によって生じる健康利益の公平性を確保するための戦略を提案する。このPerspectiveでは、全ての人々がゲノム医学の利益を確実に受けられるようにするためのゲノム的な意味での公平性に向けた、偽りのない協調的な世界的取り組みの重要性を明確に示す。

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