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インフルエンザウイルス:インフルエンザウイルスの感染歴がインフルエンザワクチン接種に対する抗体応答を形作る

Nature Medicine 28, 2 doi: 10.1038/s41591-022-01690-w

継続的なワクチン接種についての研究では、過去のインフルエンザウイルスに対する免疫記憶が現在流行している株を含むワクチンに対する応答を制限する可能性が示唆されている。以前の感染によって誘導された記憶の影響が検討されることはほとんどなく、感染は無症状であることが多いため影響を確認することは困難である。本研究では、Ha Namコホート(ベトナム)に含まれている成人でのインフルエンザワクチン接種について調査を行った。参加者は、過去9年間にインフルエンザA型(H3N2)の感染の記録がある72人と、感染記録がない28人を含むように意図的に選択された(オーストラリア・ニュージーランド臨床試験登録 12621000110886)。主要評価項目は、以前のインフルエンザA型(H3N2)の感染が、2016年11月に接種されたその地域で使用可能なインフルエンザワクチンによって誘導される赤血球凝集阻止抗体反応へ及ぼす影響である。1968~2018年に存在した40種のインフルエンザA型(H3N2)ウイルス株に対するベースラインとワクチン接種後の血清力価が測定された。ベースライン、14日目および280日目の各時点で、2008~2018年に流行した株に対する抗体価の幾何平均は、最近の感染がない参加者[19(17~22)、91(64~130)および38(30~49)]での値よりも、最近感染した参加者[34(29~40)、187(154~227)および86(72~103)]でより高値であった。14日目および280日目では、2014~2018年に流行した株に対する平均力価の上昇は、最近感染したことのある参加者では6.1倍(5.0~7.4倍)および2.6倍(2.2~3.1倍)であるのに対し、最近感染したことのない参加者では4.8倍(3.5~6.7倍)および1.9倍(1.5~2.3倍)であった。ワクチン接種後のシーズンに症候性のA型(H3N2)感染を発症したのは、最近感染したワクチン接種者では72人中1人だったのに対して、最近感染していないワクチン接種者では28人中4人であった(P = 0.021)。ワクチンによって誘導された抗体によって認識されたA型(H3N2)ウイルスの範囲は、以前に感染した株と関連していた。これらの結果は、以前の感染によって誘導された免疫学的記憶の復活は、不活化インフルエンザワクチンに対する抗体応答を増強し、防御性のある抗体力価を得るために重要であることを示唆している。

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