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自閉症スペクトラム障害:青年期にある自閉症スペクトラム障害患者での経口小分子吸着剤の安全性と標的の捕捉:非盲検第1b/2a試験

Nature Medicine 28, 3 doi: 10.1038/s41591-022-01683-9

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、コミュニケーションや社会的相互作用の減少に加え、反復的な行動、興味の限局などの特徴的な行動によって定義される。ASDの症状のスペクトラムは、最小限の症状から強力なサポートを必要とする場合まで幅広く、不安、易刺激性/攻撃性、感覚処理の変化などの付加的な症状が見られることが多い。ASDでは胃腸(GI)の問題もよく見られ、複数の研究でASD患者の腸マイクロバイオームには、対照集団と比べた場合変化が見られることが明らかになっている。これは糞便中や血中の腸由来代謝物に見られる差異という最近の知見を補完している。しかし、ASDで消化管やマイクロバイオームが果たす役割については異論が多い。本論文では、芳香族あるいはフェノール小分子に親和性のある経口GI限定吸着剤(AB-2004)が、マウスで腸の微生物代謝物の1つが引き起こす不安様行動を軽減することを報告する。この結果から、ヒトでのパイロット研究が設計され、ニュージーランドとオーストラリアでASDとGIの症状を示す30人の青年期患者が登録されて、AB-2004の安全性を評価する非盲検、単一コホート、反復用量漸増臨床試験が行われた。AB-2004は、全ての用量レベルで安全性と耐容性が良好であることが示され、薬剤に関連する重篤な有害事象は見つからなかった。ベースライン時とAB-2004投与終了時の間で、特定の腸内細菌代謝物の尿および血漿中レベルの有意な低下が観察されたことから、標的を吸着している可能性が示された。また、複数の探索的行動評価項目の改善が観察され、8週間の投与後には不安と易刺激性に加えて、GIの健康状態の事後解析で最も大幅な改善が見られた。非盲検試験(試験登録番号ACTRN12618001956291)から得られたこれらの結果は、経口吸着剤で腸由来代謝物を標的とすることは、ASDに関連する症状を改善するための安全で耐容性の良好な手法であることを示唆しており、従って、より大規模なプラセボ対照試験の実施を推奨する結果といえる。

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