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COVID-19:mRNA-1273第3相COVE試験中のウイルス動態と流行中のウイルス変異株についての初期分析

Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01679-5

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNA-1273ワクチンは、第3相Coronavirus Efficacy(COVE)試験の盲検部分で症候性重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の減少が93.2%という有効性が明らかになった。mRNA-1273は、重症疾患を含むCOVID-19の予防に高い効果を示したが、SARS-CoV-2感染のウイルス動態に及ぼす影響については分かっていない。我々は探索的解析を行い、現在進行中のCOVE試験(No. NCT04470427)でmRNA-1273ワクチン接種がSARS-CoV-2のコピー数やウイルス排出、疾患や感染の負荷、またウイルス変異株へ及ぼす影響について評価した。本研究の盲検パートAでの2020年7月から本研究の非盲検パートBの2021年5月までの全てのCOVID-19症例およびCOVID-19と判定された症例(n = 832)で、ウイルス変異株の塩基配列解読が行われた。この試験では、2020年12月に米国食品医薬品局によるmRNA-1273の緊急使用許可後に、プラセボ群の参加者へのmRNA-1273ワクチン接種が開始された。mRNA-1273ワクチン接種は、プラセボと比較した場合、診断日のSARS-CoV-2ウイルスコピー数(95%信頼区間)を100倍減少させた[1 ml当たり4.1(3.4~4.8)対6.2(6.0~6.4)log10コピー]。ウイルスのコピーが検出されなくなるまでの期間の中央値は、mRNA-1273群で4日、プラセボ群で7日であった。ワクチン接種はまた、疾患負荷や感染スコアを大幅に減少した。この事後解析で評価された試験中に米国で流行したSARS-CoV-2変異株に対するワクチンの有効性(95%信頼区間)は、イプシロン株とガンマ株に対しては82.4%(40.4~94.8%)、イプシロン株に対しては81.2%(36.1~94.5%)であった。試験中の他の呼吸器ウイルス(SARS-CoV-2以外のウイルス)の検出はグループ間で違いがなかった。追加研究が必要だが、これらのデータはSARS-CoV-2既感染者でのワクチン接種がウイルスコピー数とウイルスRNA検出期間を共に減少させることを示しており、これらの数値はウイルス伝播リスクのマーカーとなる可能性がある。

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