Article

潰瘍性大腸炎:潰瘍性大腸炎は疾患活動性と関連する形質芽細胞の偏った液性免疫応答を特徴とする

Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01680-y

腸の恒常性に重要なB細胞は、潰瘍性大腸炎(UC)ではまだあまり研究が行われていない。本研究では、徴募したUC患者を3つのコホート(準備的コホート、n = 145。検証コホート1、n = 664。検証コホート2、n = 143)に分け、UCに関連した腸炎症が起きている間のB細胞の全体的状況を包括的に明らかにした。まず、単一細胞RNA塩基配列解読、単一細胞IgH遺伝子塩基配列解読、タンパク質レベルの検証を行って、粘膜中と循環血中のB細胞の構成、転写状態、クローン型の全体像をマッピングしたところ、粘膜B細胞区画内で大きなかく乱が見つかり、多様性と成熟が抑制されたナイーブB細胞とIgG+形質細胞の増殖などが起きていることが分かった。さらに、炎症を起こしたUC腸から、インテグリンαvβ6を標的とする自己反応性の形質細胞クローンを単離した。また、腸でCXCL13を発現するTFH様の末梢ヘルパーT細胞のサブセットも見つかり、これらは病原性のB細胞応答と関連していた。3つのコホートの全てで、腸の液性免疫の変化は腸ホーミング形質芽細胞の増殖により循環血中に反映されていて、これらは疾患活動性と相関し、疾患合併症を予測することが確認された。我々のデータは、UCでは著しい調節異常が生じたB細胞応答が起きていることを実証し、B細胞が疾患の発生病理に役割を担っている可能性を明確に示した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度