Perspective
精密腫瘍学:がん患者への精密腫瘍学の提供
Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01717-2
多くの腫瘍タイプに対する診断や治療ガイダンスでゲノムプロファイリングが用いられることが増えてきており、がん治療は精密腫瘍学によって急速に変貌しつつある。しかし、腫瘍学における現在の薬剤開発の展開には矛盾が生じている。患者が高度な診断法を利用できなければ、薬剤を開発してもわずかな患者でしか使われないことになる。このPerspectiveでは、精密腫瘍学を実施する上での主な難問について概説し、それらの解決に向けて必須となる過程について論じる。これらには、ゲノミクス検査の平等な利用機会の促進、新しい薬剤や技術に対するロバストな証拠が確実に得られるような臨床研究の推進、医師によるゲノミクスデータ分析を可能にすること、意思決定への患者の関与の実現などが含まれる。精密腫瘍学における進展を、世界中のがん患者に対する利益に変換していくためには、証拠の確保、価値評価、ヘルスケア提供に対する複数の利害関係者の参加による対話と意思決定が不可欠である。