表皮水疱症:劣性栄養障害型表皮水疱症に対するin vivo局所遺伝子治療:第1相および第2相試験
Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01737-y
劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)は、水疱、創傷、瘢痕形成を伴って一生続く遺伝性皮膚疾患で、係留繊維の構成要素であるコラーゲンVII(C7)をコードする遺伝子COL7A1の変異によって引き起こされる。本論文では、RDEBの皮膚の治療に用いる、COL7A1を含む複製しない改変単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)ベクターであるB-VEC(beremagene geperpavec)の評価を行った。B-VECは、RDEBのケラチノサイト、繊維芽細胞、RDEBマウス、およびヒトRDEB異種移植片でC7の発現を回復させた。次いで、無作為化プラセボ対照第1相および第2相臨床試験(NCT03536143)では、局所的なB-VEC投与あるいはプラセボ投与を12週以上にわたって繰り返し受けた9人のRDEB患者の対応する創傷を評価した。B-VECが関連するグレード2以上の有害事象、ベクターのシェディング、組織に結合した皮膚免疫反応物質は見られなった。HSV-1およびC7に対する抗体は、ベースライン時に見られることも、B-VEC治療後に上昇することもあったが、安全性や有効性に明らかな影響は見られなかった。係留繊維の組み立て、創傷表面積の減少、創傷が閉鎖している日数、創傷が閉鎖するまでの日数などの、C7発現の主要評価項目および副次評価項目は達成された。患者から報告された痛み–重症度という副次評価項目は、治療された創傷は患者の全創傷に占める割合が少なかったため、評価されなかった。総合評価の副次評価項目は、他の評価項目との重なりがあるため追求されなかった。これらの研究は、B-VECが、投与が容易で、安全に耐容される局所的な分子修正療法であり、RDEB患者で創傷治癒を促進することを示している。