Analysis
がん:成人のがん26例にわたって見られた精神障害の累積負荷と自傷行為
Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01740-3
がんは人生を一変させる出来事であり、大きな心理的苦痛を引き起こす。しかし、成人の一般的ながんや治療への曝露にわたって見られる精神疾患の全体的な負荷に関する情報はほとんどない状態が続いている。今回我々は、45万9542人について、がん患者でありがちな精神疾患診断後の自傷行為のリスクと、自傷行為後の不自然死のリスクを推定した。がん患者で最もよく見られる精神疾患は、うつであった。また、化学療法、放射線療法、手術の全てを受けた患者では、精神疾患の累積負荷が最も高くなった。精神疾患の負荷は、アルキル化剤化学療法を受けた患者で最も高かったのに対して、キナーゼ阻害剤治療を受けた患者で最も低かった。全ての精神疾患は、その後の自傷行為リスクの増加と関連しており、最も高いリスクが観察されたのは精神疾患の診断から12か月以内だった。自傷行為を行った患者は、対照群と比べて、自傷行為から12か月以内の不自然死の確率が6.8倍になった[ハザード比(HR)6.8、95%信頼区間(CI)4.3~10.7]。12か月以降では不自然死のリスクは顕著に低下した(HR 2.0、95% CI 1.5~2.7)。本研究は、最もリスクの高い患者の優先順位を決めることで、がんと精神疾患のケアの協調的な取り組みについて知らせるのを助けるための広範な知識ベースを提供するものだ。