News Feature
がん治験の黄金時代
Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01760-z
CAR T細胞療法などのがん免疫療法が脚光を浴びているが、それに加えて、がん関連ゲノミクス、ゲノム編集、診断、バイオマーカーの発見などにおける最近の進歩により、新しい治療・診断技術が生まれている。二重特異性抗体は、患者自身のT細胞と腫瘍特異的抗原を発現する悪性細胞との間の相互作用を促進し、T細胞を活性化して腫瘍を攻撃する。ADC(抗体薬物複合体)は抗体と薬物をケミカルリンカーで結合させたもので、抗体はがん細胞表面の抗原を選択的に認識して、薬物を細胞内に送達させる。多くのがん関連タンパク質には従来の薬剤が結合できるポケットがないが、プロテアソームを用いるPROTAC(タンパク質分解誘導キメラ分子)を使えば、そうしたタンパク質を標的にできる。また、治療以上に重要な早期発見には、検体の血液や尿中に含まれる正常細胞由来のDNA(cfDNA)と腫瘍由来のDNA(ctDNA)を分析する液体生検が有望だ。