腎移植:MHCクラスI MICA遺伝子は腎移植における組織適合抗原である
Nature Medicine 28, 5 doi: 10.1038/s41591-022-01725-2
ヒト白血球抗原(HLA)以外の組織適合遺伝子座の本体は明らかにされていない。主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIのMICA遺伝子は、組織適合遺伝子座の候補である。我々は1,356例の腎移植のフランス多施設コホートでその役割を調べた。MICAのミスマッチは、移植片生存率の低下と関連していた〔ハザード比(HR)、2.12、95%信頼区間(CI):1.45–3.11、P < 0.001〕。移植の前後でともに、ドナー特異的抗MICA抗体(抗MICA DSA)は抗体関連型拒絶反応(ABMR)の増加と強く相関していた(移植前のHR、3.79。95%CI:1.94–7.39、P < 0.001。移植後のHR、9.92。95% CI: 7.43–13.20、P < 0.001)。この影響は、移植前後で抗HLA DSAの影響と相乗的であった(移植前のHR:25.68、95%CI:3.31–199.41、P = 0.002。移植後のHR:82.67、95%CI: 33.67–202.97、P < 0.001)。de novoに生じた抗MICA DSAは、移植片生存の低下と関連していたために、最も有害であった(HR:1.29、95%CI:1.05–1.58、P = 0.014)。また、抗MICA DSAの移植片生存に及ぼす有害な影響は、ABMRの見られた患者168名からなる無関係なコホートで確認された(HR:1.71、95%CI:1.02–2.86、P = 0.041)。結論として、移植片の拒絶や喪失のリスクの高い患者を見つけ出すのには、MICAのマッチングと免疫の評価を行うことが推奨される。