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骨髄繊維症:一卵性双生児の両方に見られる骨髄繊維症の子宮内起源

Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01793-4

単一細胞がinitiating体細胞ドライバー遺伝子変異を獲得するのとがんの臨床症状の出現との間の潜伏時間についてはほとんど分かっていない。本論文では、CALR変異陽性の骨髄増殖性腫瘍(MPN)があり、原発性骨髄繊維症の臨床表現型を持つ一卵性双生児成人(37歳および38歳)という珍しい症例を報告する。CALR変異はT細胞と皮膚繊維芽細胞には見られなかったので、体細胞での獲得であることが確認された。全ゲノム塩基配列解読による細胞系譜追跡により、CALR変異型MPNクローンのよく見られるクローン起源が明らかになり、この細胞は子宮内で生じた後に双生児間で胎盤を介して伝播し、それに続く疾患潜伏期間も同程度であることが分かった。インデックスソーティングと単一コロニーのジェノタイピングにより、造血幹細胞(HSC)の表現型を示す細胞がMPNを伝播させる細胞である可能性が明らかになった。さらに、新生児の血液スポット分析から、真性多血症を呈する患者(34歳)でJAK2V617F変異が子宮内起源であることが確認された。これらの知見は、MPNの長期間にわたる進化動態と、HSCでMPNに関連するドライバー変異によって生じる適応度優位性について知るためのきわめて稀な経路を示している。

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