Brief Communication
遺伝子編集:ヒトにはRNA編集酵素Cas13dに対する既存の適応免疫が存在する
Nature Medicine 28, 7 doi: 10.1038/s41591-022-01848-6
CRISPR–Cas13タンパク質のようなRNA誘導型のRNA標的ヌクレアーゼは、遺伝子編集による治療に使える可能性がある。Cas13d酵素の中で、細菌の一種であるRuminococcus flavefaciensのCas13d(RfxCas13d)は、サイズが小さく特異性が高いため、特に関心が持たれている。しかし、RfxCas13dに対する既存の免疫が存在するかどうかは分かっていない。今回我々は、健康なドナーでRfxCas13dに対する抗体とT細胞応答をELISAとT細胞培養アッセイを用いて評価した。ほとんどのドナーでRfxCas13d反応性の抗体と、CD4 T細胞およびCD8 T細胞の応答が認められ、これは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のCas9タンパク質(SaCas9)や化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来のCas9タンパク質(SpCas9)への応答と同程度だった。また、RfxCas13d応答性T細胞は、炎症性サイトカインのIFN-γ、TNF-α、IL-17を産生できた。治療用のRfxCas13d開発では、これらの知見を考慮すべきである。