COVID-19:チリ共和国でのSARS-CoV-2オミクロン株感染数急増の際に3~5歳児で見られたCoronaVacの有効性
Nature Medicine 28, 7 doi: 10.1038/s41591-022-01874-4
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のB.1.1.529系統(オミクロン株)のアウトブレイク(集団発生)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例数を、小児病院への入院も含めて、かつてない数に押し上げた。政策立案者は、ワクチン接種キャンペーンのコストと利益のバランスをとるために、小児でのワクチン有効性の証拠を緊急に必要としているが、今のところこうした証拠の数は少ない。今回我々は、チリ共和国の3~5歳児49万694人からなる人口ベースのコホートを用いて、シノバック社の不活化SARS-CoV-2ワクチン(CoronaVac)を28日の間隔で2回接種した場合の有効性を見積もった。我々は、逆確率加重生存回帰モデルを用いて、免疫正常な小児での症候性COVID-19、入院、集中治療室(ICU)入室について、ワクチン接種状況の経時的な変化や関連する交絡因子を考慮して、ワクチン未接種の場合のハザード比を推定した。この研究は、オミクロン株感染数急増時のチリ共和国で、2021年12月6日から2022年2月26日にかけて行われた。ワクチン有効性は、症候性COVID-19に対しては38.2%〔95%信頼区間(CI)、36.5–39.9〕、入院に対しては64.6%(95%CI、49.6–75.2)、ICU入室に対しては69.0%(95% CI、18.6–88.2)と見積もられた。症候性COVID-19に対する有効性は中等度だったが、重症化に対しては高い防御効果が見られた。これらの結果は、3~5歳児でのCOVID-19の重症化や関連する合併症を防ぐためのワクチン接種を支持するものであり、SARS-CoV-2感染に対する多層防御を続ける重要性を明確に示している。