Article

COVID-19:SARS-CoV-2変異株による症候性感染に対するCOVID-19ワクチンの有効性の遺伝的距離解析を用いた迅速な評価

Nature Medicine 28, 8 doi: 10.1038/s41591-022-01877-1

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の「懸念される変異株」に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)用ワクチンの防御効果の速やかな評価法は、パンデミックの制御計画に情報を提供するために緊急に必要である。49例の研究から得た78のワクチン有効性(VE)データと、31の地域で収集された198万4241のSARS-CoV-2塩基配列に基づいて、我々はワクチン株と流行中のウイルスの間の遺伝的距離(GD)と症候性感染に対するVEとの関係性を解析した。SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインのGDはワクチン防御性をよく予測し、ワクチンプラットフォームベースの混合効果モデルではVEの変化の86.3%(P = 0.038)、製薬会社ベースのモデルでは87.9%(P = 0.006)を説明できることが明らかになった。次に、このVE-GDモデルを使って、新たな遺伝的バリアントに対する既存のワクチンによる防御を予測した。その結果を公開されているリアルワールドデータと臨床試験データにより検証したところ、予測されたVEと観察されたVEは非常によく一致していることが分かった。デルタ変異株に対するVEは、mRNAワクチンプラットフォームを用いて82.8%(95%予測区間:68.7–96.0)と推定され、これは観察研究で報告されたVEの83.0%とよく一致していた。オミクロン株の4つの亜系統の間では、mRNAワクチンプラットフォームを用いて予測されたVEは11.9%から33.3%の間で変動しており、BA.1亜系統に対するVEが最も高く、BA.2に対するVEが最も低かった。このVE-GDという枠組みはリアルタイムでのワクチンの防御力の予測を可能にするもので、新規変異株に対する迅速な評価法となり、ワクチンの開発と公衆衛生的対応に情報をもたらすものとなる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度