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がん治療:残存または再発の膠芽腫を対象としたがん治療用ヘルペスウイルスG47Δの腫瘍内投与 ─ 第2相試験

Nature Medicine 28, 8 doi: 10.1038/s41591-022-01897-x

この医師主導第2相単群試験では、放射線治療およびテモゾロミド治療後の残存または再発のテント上膠芽腫の成人患者19例を対象に、三重変異を有する第3世代がん治療用単純ヘルペスウイルス1型であるG47Δの有効性を主に評価した(UMIN-CTR臨床試験登録UMIN000015995)。G47Δは腫瘍内に最大6回まで反復投与された。主要評価項目であるG47Δ治療開始後の1年生存割合は84.2%であった(95%信頼区間、60.4–96.6、19例中16例)。事前に設定された有効性評価基準が満たされ、この試験は早期に終了した。副次評価項目に関しては、全生存期間の中央値は、G47∆治療開始後20.2(16.8–23.6)か月、初回手術から28.8(20.1–37.5)か月であった。G47Δに関連する有害事象で最も頻度が高かったのは発熱(19例中17例)であり、続いて、嘔吐、悪心、リンパ球減少、白血球減少であった。磁気共鳴画像(MRI)検査では、G47Δを投与するたびに、標的病変の拡大と標的病変内の造影効果消失が繰り返し見られ、この画像変化は本治療に特徴的であった。それゆえ、2年の経過観察期間中の最良腫瘍縮小効果は、部分奏効1例、安定18例であった。生検では、腫瘍に浸潤するCD4+/およびCD8+リンパ球の数が投与のたびに増加する一方で、Foxp3+細胞の数は少ないまま保たれることが明らかにされた。この試験でG47Δによる生存利益と良好な安全性プロファイルが示されたため、G47Δは日本で最初のウイルス療法製品として製造販売が承認された。

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