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クローン病:共生酵母および食餌由来酵母による交差反応性T細胞の選択がクローン病におけるTH1細胞の細胞傷害性応答を引き起こす
Nature Medicine 29, 10 doi: 10.1038/s41591-023-02556-5
腸内微生物に対するCD4+ T細胞の反応性の異常が、炎症性腸疾患における粘膜炎症を引き起こすと考えられている。しかし、この疾患に関係する微生物種や、対応する微生物特異的な病原性T細胞の表現型についてはほとんど分かっていない。本論文では、腸の一般的な共生酵母や食餌由来酵母が、クローン病(CD)患者のCD4+ T細胞応答の変化を直接引き起こすことを明らかにする。酵母に応答するCDのCD4+ T細胞は、細胞傷害作用を持つヘルパーT細胞(TH1細胞)の表現型を示し、また、共生真菌種のいくつかや食餌由来の真菌種に高い交差反応性を示す、T細胞クローンの選択的な拡大を示すことが分かった。これは、慢性腸疾患の状況では、保存された真菌抗原に繰り返し遭遇することによって、交差反応性T細胞の選択が起こることを示している。我々の結果は、CD患者では、酵母がCD4+ T細胞反応性の異常を引き起こすドライバーの役割を担っていることを明らかにしていて、腸に常在する共生真菌と毎日の食餌から摂取される酵母の両方が、CD患者に見られるCD4+ T細胞の炎症応答の慢性的活性化に関与している可能性を示唆している。