心不全：心不全治療の最近の成功例

近年の目覚ましい進展により、心不全領域は革命的な変化を遂げた。心不全や駆出率低下の患者の生存率は改善してきており、また、心不全のさまざまな駆出率スペクトラムに対して転帰を改善する新たな治療法の登場もある。心アミロイドーシスや肥大型心筋症といった心筋症の治療は著しく進み、かつて治療法はないと考えられていた症状でも、現在では新たな遺伝学的手法や分子的手法による効果的な管理が可能になっている。しかし、心不全には満たされていないニーズもまだ多く残る。臨床試験での成功を患者の転帰の改善にトランスレーションしていく際の制約には、医療の実装までのギャップ、疾患啓発の広範な不足、転帰の社会経済的決定要因や格差への取り組み方に関する理解不足がある。現在進行中の臨床試験、精密医療のための表現型細分化の進展、技術的ソリューションの登場は、いずれも将来に希望をもたらしている。