HIV:AZD5582とSIV特異的抗体の併用は抗レトロウイルス療法で抑制中のアカゲザルにおいてリンパ節のウイルスリザーバーを減少させる
Nature Medicine 29, 10 doi: 10.1038/s41591-023-02570-7
HIVの根治に対する主な障壁は、複製能のあるプロウイルスの潜伏感染したCD4+ T細胞の持続的なリザーバーが、抗レトロウイルス療法(ART)中断時にウイルス血症のリバウンドを促進することである。このリザーバーを標的とする主要な方法として、潜伏しているHIVプロウイルスを再活性化する薬剤を用いる方法があり、再活性化されたウイルス抗原を発現する細胞は免疫エフェクター細胞や免疫療法剤によって直接除去される。我々は以前に、IAP(inhibitor of apoptosis proteins)アンタゴニストかつSMAC(second mitochondrial-derived activator of caspases)模倣薬(IAPi/SMACm)であるAZD5582は、潜伏しているHIV/SIVを全身で再活性化させるが、ウイルスリザーバーのサイズは減少させないことを示した。本研究では、ARTによって抑制されたSIV感染アカゲザルで、SIVエンベロープ特異的な4種類のアカゲザルモノクローナル抗体(RhmAb)とIL-15スーパーアゴニストであるN-803の有無とを組み合わせたAZD5582の影響について調べた。今回我々は、SIV再活性化誘導におけるAZD5582の有効性を確認し、AZD5582とN-803の併用は潜伏感染の再活性化を増強することを実証するとともに、AZD5582とRhmAbを併用したアカゲザルのリンパ節由来のCD4+ T細胞では、SIV-DNA量は全体的にも複製能のあるものも減少することを示す。この治療法をさらに探求することは、HIV根治の達成という目標に寄与すると考えられる。